世界遺産になった記念って事で、富士山シリーズを作る事にした。まずは葛飾北斎の富嶽百景シリーズの中から赤富士をオマージュした。ただ、そのままの浮世絵を描いてはつまらない。そんなものは素材として転がっている。似て非なるものを作らなければならない。…っちゅう事で簡略化した。色合いも若干オリジナルよりもビビッドにしている。
浮世絵に関しては全くの素人だが、赤富士の何が凄いといって(昔は分からなかったが)構図の大胆さと、色の大胆さだ。中央に富士山を持ってきていない。左右対称の美しさは安定感があるが、面白みに欠ける。それを右にずらしている大胆さが凄い。俵屋宗達の風神雷神もそうだが、トリミングが素晴らしいのだ。敢えて不安定な構図を選択してバランスをとっている。
同じ意味で漢字だと、「しんにゅう」が大好きである。同じ意味でしんにゅうは不安定だからだ。片方に比重が乗っているが、それをバランスで整える。書いて楽しい文字だ。
それにしても世界遺産になった富士。テレビで観ると異様に人が多い。しかも中国や韓国から「しんにゅう」してくる観光客が多いのに驚いた。観光は喜ぶべきことかもしれないが、汚さないで欲しいもんだ。「しんにゅう」が嫌いにならないようにしてもらいたい。
(ふゆき)