田舎育ちなので、村にひとつ神社があった。今は建て替えられたが、山のふもとにある神社は階段を百ほど昇ると神秘的な香りを漂わせながら周囲を木に覆われて存在していた。少年時代はその神社の入口にある狛犬(コマイヌ)が実に怖かった。体中コケを生やしながら睨むのである。
何が怖いといって、きっとどこかにやましい所があったからだ。やましさを感じない人間なんていない。サンタは絶対にいないが、神様だけはもしかしたら…と思えた。そんな少年もいつしか神様を全く信じないバチアタリになった。狛犬も怖くない。みんなそうに違いない。
だが、昔より余程やましいのに何故だろう。時折ふと…バチを当てる神様だけいるような気がしてきませんか。そうは思いませんか?やましい事だけらけのあなた。
お前はどうだって?
私は本当に苦しい時のみ神様がいるような気がします。(俺が真っ先にバチを当てられるな…)