シンプルドラゴン年賀状一般用・e01

人の思いこみを利用する

出来る限り、少ない線で描いてみた。龍と分かれば良いのだ。干支にこだわらなければもう少し楽が出来るに違いない。しかし、これは自分に課した掟のようなものだから仕方がない。誰だって楽したい。面倒な事は避けたい。しかし一度でも楽をすると、もう二度と元に戻れない。少ない線で描くのがせめてもの抵抗だ。

龍なんて誰も見たことはない。ヒゲがあろうがなかろうが、角があろうがなかろうが、それは龍と違う！と断じる資格のある人はいない。イメージとは人の頭の中にある思い込みである。実在するものを誤解されても困るが、欧米人が日本といえばサムライ、芸者、フジヤマと想像するのも似たようなものだ。

しかし、人の刷り込みを利用する時は、これを利用しなければならない。アメリカ映画で日本か中国か分からないシーンが出てくるが、あれが実態なのだろう。人々のイメージを喚起する必要があるからだ。今時日の丸弁当なんてないけれど、絵で描くと弁当だと分かるのは人の思いこみがあるからだ。

恐ろしい事だが、この思込みをひっくり返すのは容易ではない。私が本当は悪い奴だと言っても誰も信用しないのと似ているだろう。（え！すぐ信用するって？）じゃあこうしよう。私が本当は実にすばらしい人間だと言っても誰も信用しないのと似ているだろう。（え、そりゃそうだって？）

本当は良い人間なんだよ、君ぃ〜！知らないと思うけど。陰で本当は実に良い事をしているんだ。性格だって温厚で世のため人のため…って言えば言うほど、俺は悪い奴に思えてくるのはどうしてだろう…。

（ふゆき）