ふゆきデザイン年賀状

家族B-02ふゆきデザイン年賀状

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手と指の記憶

鉛筆の存在感が揺らいでいる。自分を端的に表す鉛筆より重いものを持った事がない…というキャッチフレーズも遠くに霞む。その鉛筆さえ持つ事が少なくなったからだ。その昔、鉛筆は鉛筆削りではなくナイフで削った。使うよりも削られてなくなる方が多いのではないかと思うほど、自分でも不器用だと思った。だが、ひとたび鉛筆を手にすると、器用な奴に変身したものだ。シャープペンシルに取って変わられ、さらにキーボードにとって変わられ、使う事が殆どなくなったが、鉛筆はいつも身近にあった。頭ではなく、手が覚える指が覚える大切なものがそこにはあったのだ。

先日、自分とは全く縁がなかったスポーツクラブとやらに出かけ、始めてマシンを相手にトレーニングしてみた。腹筋などはまだましだが、腕の力が異様に少なかった。能力も道具も使わなければ衰えて廃れていくことを痛感した。そして、責任感より重いものを持った事のない私は、今回初めてこのままでは鉛筆文化が廃れてしまう…と、危機感を持った

この年賀状は鉛筆を使う事が少なり、手で書く事の大切さを忘れつつある現代日本への警鐘を込めた問題提起型の年賀状である。そして…その鉛筆回帰を込めた年賀状を…

私はマウスで描いたのだ。(俺って何ていい加減なんやろ。)

(ふゆき)

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イラスト&デザイン/田中冬木

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