漢字1文字をはがきに大きく書く「字手紙」がシニアの間で人気を集めているという。絵を描いたり長い文章を書いたりするのが苦手な人でも、しゃれた作品を書け、送った相手にも喜ばれる。使う漢字や言葉を選ぶ過程も楽しく、頭の体操にもなるそうだ。
字手紙とは、書道家の関紫芳(せきしほう)さんが2002年に考案したもので、
漢字1文字を大きく書く「大字」と、「添え書き」と呼ぶ短い文章で構成される。
「添え書き」は、相手に伝えたい内容を14文字前後にまとめる。
例えば、新茶をもらったことに対する礼状なら、「おいしい新茶をありがとう」。
そして、漢字1文字を考える。例えば、「緑」と大きく書けば、新茶のさわやかな色が浮かぶ。
誕生日祝いに「花 お誕生日おめでとう」、暑中見舞いに「暑 夏ばてしてませんか」など、
自由に言葉を考える。大字と添え書きに同じ漢字を使わないのがルール。
大字を干支の文字にすれば、年賀状にもなる。
関さんの弟子で「字手紙入門」(主婦の友社)の著者、戸松葉美さんによると、
大字を書く時は、書道と違い、書き順などを気にせず、絵を描く感覚で自由に書いていい。
「花」の草冠の縦線を、花びらをイメージして丸みのある線にしたり、
「暑」という漢字全体をぐにゃりと曲げて書き、暑さを表現したりしても雰囲気が出る。
「大字」は書道用の中筆で、「添え書き」は小筆で書く。
文具店などで売っている1本400〜600円程度の手頃なもので十分だ。
添え書きは、小筆で書くのがどうしても難しければ、筆ペンでもOK。
戸松さんによると「なるべく小筆に挑戦した方が、味のある字が書ける。
鉛筆と同じ持ち方で、手首をもう片方の手に載せて安定させると書きやすくなります」とのこと。
大字は、はがきの四隅のいずれかに寄せて、
はがき全体の3分の1から半分ぐらいの大きさで書く。
添え書きは、大字の対角の位置に書き、はがきの端から1センチほど内側に収める。
大字は薄い字で大きく、添え書きは濃い字で小さく書くと、バランスがよい。
「大字や添え書きを考える時、シニア世代ならではの豊富な語彙や人生経験が役に立つ。
字の上手下手ではなく、心を込めて書けば、気持ちが伝わるのが字手紙の魅力です」と
戸松さんは話している。
Copyright © The Yomiuri Shimbun(YOMIURI ONLINE より抜粋)
大胆で粋な字手紙は年賀状にもうってつけ。
ポイントを押さえて作成すれば、記憶に残る年賀状を作れそうだ。
シニア世代からの「字手紙」は言葉の重みを感じるような、
カッコいいものになりそうだ。
語彙も経験も浅い若年層であったとしても、
等身大の言葉で、好きな色で描けば、自分らしい「字手紙」が出来る気がする。