滋賀県草津市は、近代郵便制度の父・前島密が親しい部下に送った年賀状などの書状20点が見つかったと発表。貴重な資料として草津市立 草津宿街道交流館にて、7月23日〜9月1日まで公開される。
前島密(1835年-1919年)は日本の近代郵便制度創設者の1人として、現在1円切手にその肖像がデザインされている。
「郵便」「切手」「葉書」の名称を定め、郵便制度の父と呼ばれているが、その功績は郵便関連の他にも鉄道や教育、電信・電話等多数の分野にわたり、近代化の進む日本を陰ながら支えた続けた。
今回発表された資料は、明治新政府・駅逓寮(えきていりょう・後の郵政省)の高官であった前島が、親しい部下であった山内頼富に送ったもの。明治4年〜13年に送られた私的な書簡が中心で、山内家の子孫が草津市に寄贈した。
発見された年賀状は巻き紙に漢文調で記されている。当時、年賀状は三が日頃に書くのが一般的だったが、明治6年の年賀状には「多忙のため大晦日まで出勤しており、2日3日も自分は出勤していたので年賀状を出すのを失念していた」と詫びる内容が記されており、日付は9日になっていた。
郵便制度創業期の前島直筆書状は少なく、今回発見された書簡は当時の政情を知る資料としても貴重なものとなる。
草津市立 草津宿街道交流館
〒525-0034 滋賀県草津市草津三丁目10-4 TEL 077-567-0030
http://www.kusatsujuku.jp/kaido/
日本の郵便はがきは明治6年発行開始。年賀状のやり取りは、古くは平安時代から文書による年始の挨拶として行われていたようですが、上流階級や知識人の間でのやり取りだったようす(一般に年中行事として定着するのは明治20年前後)。
出し遅れた事を詫びた年賀状が140年経って当時の様子を垣間見る貴重な資料になるとは、書いた本人思いもよらないですね。