企業・ビジネスA-12ふゆきデザイン年賀状

急行電車

明るい明日に向かって走る。各駅停車ではない。途中をすっ飛ばして一気に駆け抜けるのである。

せっかちな都会の人間は各駅停車より一気呵成に走る急行を好む。みんな電車が来たら取り敢えず走る。田舎育ちの待つことに慣れた私でさえ駅で10分以上待つことに耐えられない性質になった。

子どもが8歳の時、大阪環状線に乗るべく走ったが到底間に合わないと思えた。だが子どもは常に一生懸命だ。必死に走る。電車に勇気のある女性が顔を挟まれながらも飛び乗るのが見えた。一度ドアが開いた間隙を縫って子どもがちゃっかり乗ってしまったから大変だ。お陰で私も勇気を振り絞りもう一度ドアに顔を挟まれながらも乗らなくてはならなくなった事がある。

数分待てば来る電車でこれだ。そんなに急いでどうする…と言いたいが、ビジネスは各駅停車では間に合わないのも事実だ。やはりひたすら乗り遅れまいとみんな走る事になるのである。止まるのは、ドアに挟まれるよりも遙かに勇気がいる世の中になった…。

(ふゆき)